転校生

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「じゃあ、キャッチしてこいよ。壁打ちじゃ可哀想やろ」 俊二はやっと立ち直ったのか、手をひらりと達也の方向へ振る。 裕希は頭を下げて、達也のもとに行った。 「ふーん。なかなか楽しくなってきたやん」 裕希の後ろ姿を見送りながら、俊二は自然と声を漏らした。 「近藤さん?」 近くで同じくトンボをかけていた翔汰が俊二の一言に反応する。 「翔汰、今日から楽しくなりそうやな」 上機嫌でそう言った俊二。 翔汰はよくわからない様子で首をかしげる。 「ま、俊がそう言った時は良くない事、考えてるんよねー」 新たに加わったのは大柄な少年。 「啓太、そんなことねぇよ」 俊二の幼なじみ、鮎川啓太は彼の考えを分かっているようだった。 「昔っからそうやったろ。やたらにやけた笑いしてるんが証拠」 「これは生まれつきや……まぁ楽しいからええやん。変な事は考えてないわ」 「ふーん。どうだか」 幼なじみは全てを見抜いた口調で俊二を見つめていた。
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