1381人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、キャッチしてこいよ。壁打ちじゃ可哀想やろ」
俊二はやっと立ち直ったのか、手をひらりと達也の方向へ振る。
裕希は頭を下げて、達也のもとに行った。
「ふーん。なかなか楽しくなってきたやん」
裕希の後ろ姿を見送りながら、俊二は自然と声を漏らした。
「近藤さん?」
近くで同じくトンボをかけていた翔汰が俊二の一言に反応する。
「翔汰、今日から楽しくなりそうやな」
上機嫌でそう言った俊二。
翔汰はよくわからない様子で首をかしげる。
「ま、俊がそう言った時は良くない事、考えてるんよねー」
新たに加わったのは大柄な少年。
「啓太、そんなことねぇよ」
俊二の幼なじみ、鮎川啓太は彼の考えを分かっているようだった。
「昔っからそうやったろ。やたらにやけた笑いしてるんが証拠」
「これは生まれつきや……まぁ楽しいからええやん。変な事は考えてないわ」
「ふーん。どうだか」
幼なじみは全てを見抜いた口調で俊二を見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!