天才

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「それで、どんな奴やったん?」 俊二がさりげなく尋ねて、翔汰がその試合について話を始めた。 ――それは四年前の秋の終わり。 薄が土手を覆い、風が次第に冷たくなる頃だった。 翔汰と慶哉、凛紀は同じリトルの出身。 ちょうど、凛紀はリトルを卒業して、翔汰と慶哉にはリトルでの最後の試合をした時だった。 最後は監督が頼み込んだらしく、いつも練習試合の予約が一杯だった、荒井リトルとの試合。 この時から地区を始め、色々な大会で優勝していた荒井リトルはかなり有名だった。 そしてその年、荒井リトルは全国大会に出場と乗りに乗った次期。 到底勝てないと分かっての試合。 しかし、小学生最後の試合あって二人は周りに反してやる気だった。 「……でも、あっさり負けました」 しみじみと翔汰は言った。 彼の瞳は何故かさっぱりした諦めの色が伺える。
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