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中国の覇者、毛利元就。
四国の覇者、長曾我部元親。
二人は同盟国の国主であり、一部の者には知れた恋仲であった。
幼少より真の兄弟の様な関係であった為、一度は別れ別れになりこそすれ、一層の愛を深めていった―――それが原始からの運命であるが如く……―――――
……しかし運命は重なる。
1582年、本能寺の変。
「世に、魔王あり」と恐れられし織田信長、家臣・明智光秀に討たる。
この事件は日ノ本全土を震撼させ、十分過ぎる程の衝撃を与えた。諸将は次代の天下を治めるべく、挙って光秀の行方を確保、抹殺せんとした。
―――しかし彼が次に標的を定めた者は有ろうことか、中国の毛利元就その人であった。
彼の狂人は毛利の大軍をものともしない勢いで突き進み、ただ己の欲望を満たす為だけに阿鼻叫喚の惨殺劇を繰り広げた。
そして毛利本陣に辿り着いた時には真白き頭髪も顔も彼の獲物も、全て紅黒く血濡れていた……――――。
一瞬表情を凍らせた元就を嘲笑うかの様な笑みを張り付け、彼は標的めがけて双鎌を滑らせた。
刃が元就の細身を斬り裂くかに見えた。
が。
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