恋人を射ち堕とした日

8/14
前へ
/32ページ
次へ
        人の気配を感じ取り、自然と足を速める。そこに待ち構えていたのは…………                 「……よぉ。待ちかねたぜ元就………」       『元、親………』             元親であった。   顔はだいぶやつれて青白くなっているものの、その右目には薄暗い炎が揺らめいている。         『策も弄せぬくせに小細工を働かせおって………どういうつもりだ』   「どうしたもこうしたもねぇよ……俺にはこうするより他が見当たらなかった。だからこうしたまでさ…………」     碇槍を緩慢な動作で振り回し、彼の全力を絞り切る様に声を荒げる。       「俺を討ち取ってみろよ!!   毛利元就ぃぃぃぃぃぃぃいっ!!」           .
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加