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僕がそんなことを言うなんて思っていなかったらしく、綾上君は驚いた顔をして黙り込む。
「席つけーHR始めるぞー」
そこで丁度、教室に三宅(担任)が来て、HRが始まり、お互いに席についた。
席について考えることは一つ。
(七瀬先輩学校来てるのかな……)
面倒ないざこざは嫌いだ。
けど、もう二度とあんなことはしてほしくない。
生徒会にちゃんと戻ってきてほしい。
普通は恐怖から、二度と近づけないよう遠ざけるのだろうけど、
先輩は「好き」と言ってくれた。
それに答えられないのは僕だ。
僕が達也を好きだから、先輩はあんなことになった。
だからといって、重い責任を感じたらいけないのだろう。
それは先輩にも失礼だし、僕自身、たくさん傷つけられた事実を棚に上げて、先輩の告白に答えられない自分を責めるつもりはない。
ただ、
先輩は悪いだけの人じゃない。
僕を傷つけた、ただの狂った人なんかじゃない。
去年、達也と共に高等部生徒会を運営していたことや、生徒からの支持があって役員に選ばれていることが何よりの証拠。
いつだって助けてもらったのも確か。
そんな先輩を失いたくない。
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