5587人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
~放課後~
「はぁー…………」
重いため息をはいて、顔を伏せる男が一人。そう、僕。
──ガラガラッ
「翔ー!!!」
いきなり扉が開いたかと思えば、達也が飛び込んで来た。
顔を上げれば目の前に顔。
教室には今、誰もいない。
なんで僕がこんな時間になるまで居るのかっていうと、達也の一言から。
「朝と帰りは必ず俺が迎えに行く。心配だから。
あっ、昼も一緒に食べようなっ」
そして、何故ため息をついていたのか。それは…………
「高瀬様!!」
「……はい?」
「ここ数日、僕たち心配で心配で…」
「何かあったんですか!!」
「朝の、綾上となんかあったんですか!!」
「保坂先輩は…!!」
…………云々。
授業が全て終わると同時に始まった大質問会。
結局解放されたのはついさっき。
沈黙がやっと教室に流れだし、やっと落ち着いて机に伏せたところに達也が来たのだ。
「何か疲れた顔してんな。何かあった?」
ものすごく心配そうな顔をして僕の頭に手を置く達也。
なんだかそれが面白くてつい笑みが零れる。
「……いやっ、さっきみんなに沢山質問されちゃってちょい疲れただけ」
笑った調子のまま答える。
最初のコメントを投稿しよう!