042 そして

10/11
5587人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
~放課後~ 「はぁー…………」 重いため息をはいて、顔を伏せる男が一人。そう、僕。 ──ガラガラッ 「翔ー!!!」 いきなり扉が開いたかと思えば、達也が飛び込んで来た。 顔を上げれば目の前に顔。 教室には今、誰もいない。 なんで僕がこんな時間になるまで居るのかっていうと、達也の一言から。 「朝と帰りは必ず俺が迎えに行く。心配だから。 あっ、昼も一緒に食べようなっ」 そして、何故ため息をついていたのか。それは………… 「高瀬様!!」 「……はい?」 「ここ数日、僕たち心配で心配で…」 「何かあったんですか!!」 「朝の、綾上となんかあったんですか!!」 「保坂先輩は…!!」 …………云々。 授業が全て終わると同時に始まった大質問会。 結局解放されたのはついさっき。 沈黙がやっと教室に流れだし、やっと落ち着いて机に伏せたところに達也が来たのだ。 「何か疲れた顔してんな。何かあった?」 ものすごく心配そうな顔をして僕の頭に手を置く達也。 なんだかそれが面白くてつい笑みが零れる。 「……いやっ、さっきみんなに沢山質問されちゃってちょい疲れただけ」 笑った調子のまま答える。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!