026 偽りの笑顔

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一人満足そうに頷いてから廊下を歩きだす。 これから会う翔のことを思うと思わず顔がにやけてしまい、通り掛かった人が見れば多分気持ち悪いだろう。 「保ー坂先ッ輩!!」 ふと、そんな幸せな気分を一気に吹き飛ばすかのように、誰かの割と高い声が後ろから響く。 (誰?) そう思って後ろを向くと同時に向こうから走ってきた声の主に抱き付かれる。 「うわぁあ……誰だよ…ッて亮太君じゃん」 「えへへー、暇?」 そう言って首を傾ける亮太君とは、翔のクラスメイトの綾上 亮太。 といっても、翔は多分存在を知らないだろう。 クラスメイトの名前を覚えてるとは思えない。 亮太君は、俺にとっての弟みたいな奴で、入学式の時に間違えて生徒会の座る椅子の方に来たことがきっかけで知り合った。 七瀬先輩と二人で亮太君を一年のところに連れてったんだったっけ。 「ちょっとお話したいんだけど………会長さんのことで」 「翔のことで?…それなら行こう」 亮太君には日頃から翔に悪い虫がつかないようにさりげなく観察を頼んでいる。 だから、たまにこうやって翔の様子を教えてもらうのだ。
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