罠

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「聖世の考えている事なんてお見通しだ。様子もおかしかったし、何かするつもりなんだってすぐに分かった」 「つけてきたのか?」  気配まで消して? 「何も言ってくれなかったのは聖世だろ」  咎めるような口調で責められて聖世は黙り込んだ。 今回の場合、悪いのが自分だと分かっていたからだ。 私情に流されて報告すべき事を監視人である玲旺にしなかった。 勝手に動いた事は間違いなく聖世に非がある。  聖世と玲旺の間に剣呑な空気が流れていた。  そんな二人の様子を面白そうに見守っていた綾香が口を開いた。 「良かったわ。あなた達、あまり仲が良くないみたい」  ニッコリと機嫌よく微笑まれて聖世は息を呑んだ。 その言葉を聞いた時に綾香と同化しているティタンの正体が分かったからだ。 玲旺も今まで全く目が行かなかった綾香の方に視線が向いた。 「まさか……お前」 「お久し振りね、ポセイドン。ごきげんよう。私の事は忘れていなかったみたいね」  玲旺は混乱とショックなあまり言葉が出てこなかった。 「どうして」という言葉をようやく搾り出すように口にすると、綾香はそんな玲旺に優しい眼差しと柔らかな微笑みを向けた。
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