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目の前で聖世を奪われてしまった、その自責の念は玲旺の力では止める事は出来ないところまで来ていた。
このまま全てが水に埋まってしまえばいい。
自分も聖世を奪ったティタンも。
全てがなくなってしまえばいい!
学校内でも、その周辺でも人々は大パニックだ。
一体何が起こったのか分からないまま、浸水を始めた水から何とか逃れようと必死になる者もいれば、建物の外にバケツで水を掻き出そうとする者もいる。
ただ一つ言える事があるとすれば、その出来事に遭遇した者は全て水の本当の恐怖を知ったという事だろう。
溢れ出した水は玲旺の怒りに反応して渦巻き、荒ぶる。
混乱と悲しみの中にある玲旺は海王の力を発し続けた。
このまま、力を使い続ければ玲旺の人間としての器は壊れてしまうだろう。
それでも玲旺は自分のポセイドンの力を使うのをやめなかった。
壊れてしまえばいい。聖世を助ける事の出来なかった人間の器なんて壊れてしまえ!
それは突然の事だった。
『力』を発し続け、自我を失いかけている玲旺の顔を誰かが殴りつけたのだ。
「いい加減にしろ。正気になれ!」
嘉晃だった。
嘉晃が突然玲旺のいる美術工芸室に飛び込んで来て、玲旺の顔を殴りつけたのだ。
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