罠

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 嘉晃の言葉に玲旺はようやく本来の自分を取り戻したようだった。 玲旺の目に本来の彼らしい輝きが徐々に戻りつつあった。 ポセイドンの力が収まり、周囲が静かになった。 「俺……何やってるんだろ……?こんなところ、聖世に見られたら殺されるかも」  玲旺の言葉に嘉晃は玲旺が正気に返った事を確信した。 「さあ、行こうか。僕の店でこれからの作戦を立て直そう」  嘉晃が玲旺に柔らかい笑顔を向けた。 嘉晃の笑顔が先日のメドゥーサが表に出て来た時の聖世のものと重なる。 ただそれだけの事で気持ちが収まってくる。 そうだ、今は聖世と隼人を助け出す事だけを考えよう。 あとの事は二人を助けてから考えればいい。  玲旺は嘉晃に促されるまま、美術工芸室を後にした。 あれだけの洪水を起こし、人々をパニックに陥れた水は、まるで何事もなかったかのようにどこへともなく流れて跡形もなく消えていた。
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