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ところが、聖世が中央校舎と西校舎を繋ぐ渡り廊下を渡り、西校舎に入ろうとした途端、ティタンの『気』が消えた。
「遅い!」
まるで聖世が来るのを待っていたかのように西校舎の入り口前で仁王立ちしている女生徒が何もない空間から現れた。
時計を覗き込み、「二分三十秒!」と呟いている。
制服を見る限り、この学校の生徒なのだという事は分かる。
上履きのつま先のゴムが緑色なので、三年生のようだ。
しかし、見た事のない顔だった。
「あなたがここに来るまで二分三十秒も待っていたわ。遅い!遅すぎる」
そんなの頼んでないよ!と言いたいのを堪え、聖世は相手を観察する。
どこにでもいるような普通の高校生に見える。
少し細身の体にショートヘアーが元気そうな印象的を与えていた。
今のように『気』を放っていなければ、すれ違っても神話の関係者だとは気が付かないような、そんな少女だった。
「私に何の用だ?」
「あら?あなた、私の気を追いかけてここに来たんでしょ?何の用か、なんて聞くのは間違っていると思わない?」
言いながら、その三年は白い封筒を聖世に投げて寄越した。
「アテナ様からの招待状よ。有難く受け取りなさい!」
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