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「アテナ」
どうやらこの女生徒に同化しているのはアテナの眷属らしい。
道理で、巨大な力を持っているわけだ。
「必ず来なさい。そしたらあなたの探し人の事、教えてあげる」
言いたい事だけ言ってその女生徒はその場から消えた。
聖世の手元には女生徒から渡されたアテナからの招待状だけが残ったのだった。
空き時間で使われていない視聴覚室の隅の席に座り、聖世は悩んでいた。
それは過去の痕跡のない紙だった。
『オリンポス』の入り口になっていた学校の地下のように、過去の記憶を消された水色の紙には丁寧な字で【本日の放課後、西校舎の三階、美術工芸室】とだけ書かれていた。
どう考えてもあからさまな罠だった。
それでも自分達に選択肢などなく、この手紙に書いてある通り、その場所へ行くしかないのだろう。
(どうしよう)
本来だったらすぐにでも玲旺にこの事を伝えるべきなのだろう。
個人的にどんな感情があろうと、玲旺はゼウスが聖世のつけた監視人だ。
ティタンの事は何でも報告するように言われている。
それでも今は玲旺の顔を見たくもないし、話したくもない。
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