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ポセイドンは醜くなったメドゥーサを探そうとはしなかったし、メドゥーサの首はペルセウスに首を切られ、アテナの盾に取り付けられた。
それで二人の関係は完全に終わったはずだった。
それなのに、何故、ポセイドンは人間に生まれ変わってまで、十五年間も聖世と共にいたのだろう?
考えれば考えるほど分からなくなるポセイドンの気持ち、そして玲旺の気持ち。
混乱する頭で聖世は放課後、一人で呼び出された場所に行く事を決めていた。
約束通り、授業を終わった後、すぐに西校舎へと向かった。
玲旺には何も言っていない。
四時間目は二人ともサボる結果となったが、五時間目からは二人とも授業に参加していた。
玲旺は何か言いたげな視線を聖世に向けていたが、聖世はそれを一切無視していた。
今、玲旺と口を利いたら余計な事を言ってしまいそうな自分がいる。
玲旺も気まずいのか、聖世に話し掛けては来なかった。
美術工芸室は授業で使われる事はほとんどなかった。
授業で使うモチーフの石膏像や工具などが置かれているので取りに来る事はあるが、それだけの教室だ。
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