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ーー暗い闇に紛れ魔物は動きだす。
「く、来るなぁぁぁ‼‼」
『ククククク…美味そうだな……』
「ぅわぁ…た、助け…」
『その恐怖に震えた魂は最高の味となる…クク…だがな、お前の魂は我が主人(あるじ)に捧げてやる…』
「お、おた…す…け」
『ククククク…』
その夜、平安の都に断末魔が響いた。
ーー…………‥‥
『晴明様、何をなさっているのですか?』
「ミナモか…。見て分からぬか?巻き物を見ているのだよ」
『何もないときにでも見るのですね』
「何も無いからこそ見るのだ。暇潰し…とでも言っておくか」
『フフッ…晴明様らしいですね』
今、晴明と話しているのはミナモという安倍晴明の式神である。
『あら?晴明様、客人のようですよ?』
そういった直後、
「晴明様!お助け下さい!」
と声がした。
「なんだ?」
「私の娘の顔に見知らぬ痣があります!本人も知らぬようで…どうか晴明様のお力で!」
来たのは男で、隣にまだ幼い子供がいた。
「分かった。見せてくれぬか?」
晴明はそれを見ると素早く印を結び呪文を唱えた。
すると、みるみるうちに痣が消えていくではないか。客人の男はビックリしている。
「何かの軽い呪いでしょう。軽い事からかけた相手も本気でやったわけでは無いと思うので大丈夫でしょう」
「あ、ありがとうごぜぇます!これ少ないですが、お礼の銭です!…さぁ行こう」
と、お金を差出し娘を連れて帰って行った。
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