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ーー陽も落ち、綺麗な夕焼けが広がっているころ安倍晴明の屋敷に2人の男が訪ねてきた。聞くと、藤原道長の使いできたらしい。名は四誠(しせい)と橘(たちばな)といった。
「晴明様、最近都で起こっていることをご存じですか?」
「いや…何のことだ?」
「6日程前、都で南の方のお屋敷の藤原兼成(ふじわらのかねなり)様が何ものかに襲われ、お亡くなりになられたのです」
「しかもそれだけでは無いのです」
橘が言った。
それを聞いた晴明は目を細めた。
「その6日前から今日まで毎日、人が殺されているのです」
「通り魔…とかではないのか?」
晴明が聞いた。
「いえ、それが違うんです。みな、殺され方が違うんですがどれもみな人間がやったと思えないんです」
橘がそういうと四誠が話を始めた。
「一人目は先ほども言いました藤原兼成様です。内蔵が破裂しておりました。二人目は東の屋敷の源実正(みなもとのさねまさ)様です。心臓が取り出され床に転がっていたのです。三人目は北の屋敷の有原勝良(ありわらのかちよし)様でした。手足が切断されていました。四人目は、これまた北の屋敷の白場経静(しらばのつねしず)様の女房様でした。腹を切られ内蔵に無数の太刀が刺さっておりました。五人目は南の屋敷の枝賀水吉(えがのみなよし)様でした。軽い全身火傷に首と足を切られていました。…そして六人目は西の屋敷の安州羽品露(あすはのしなつゆ)様です。魂が抜き取られておりました。」
その時、晴明の顔がピクッと動いた。
すると橘が言った。
「四誠殿、六人目は外傷が無かったんですよ。魂が抜き取られているって…」
「あ、いや、その……が、外傷が無かったから抜き取られたのか。と思ったんだ」
「!…そうなんですか!」
「ということなんです晴明様」
「…………………分かった。引き受けた…」
「ありがとうございます!」
四誠と橘は言った。
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