七年ごしの願いごと

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 その日は、雪が降ってもおかしくないようなくもり空でした。  ホワイトクリスマスになるかも、とはしゃぐクラスメイトたちの声に、わたしはこっそり「雨になっちゃえ」と呟きました。  ゆううつな灰色の空さえ、クリスマスイブである今日には、すばらしくみえるのでしょう。  そんなおめでたいクラスメイトのことが、わたしは嫌いでした。  テレビや雑誌におどらされているだけなのに、馬鹿みたいだと思っていました。 「ゆきちゃん、一緒に帰らない?」  わたしが帰りじたくをしていると、隣の席の早苗ちゃんが声をかけてきました。  早苗ちゃんは、いつもにこにこしていて、誰にでも優しい女の子です。  わたしは、早苗ちゃんの笑顔をみるたびに『何が楽しくて笑っているんだろう』とひそかに思っていました。 「……わたし、ひとりで帰るから」  わたしが目をそむけると、早苗ちゃんの後ろにいた理子ちゃんと藍菜ちゃんが 「だからやめなって言ったのに~」 「早苗、早く遊び行こっ」  とわたしをにらんで言いました。 「そっか……無理にさそっちゃってごめんね! また今度ね!」  でも、早苗ちゃんはやっぱりにこにこと笑ってそう言うと、二人と一緒に教室を出て行くのでした。
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