七年ごしの願いごと

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「ただいまー」  いちおう声をかけてみても、家の中はうす暗くて、玄関にはわたしのくつだけが転がります。  電気とテレビをつけて、わたしは自分の部屋にかばんを投げ出しました。  キッチンの食卓の上には、千円札が一枚と『何か買って食べなさい』というお母さんからのメモが一枚。  わたしはため息をついて戸棚をあけ、カップラーメンを取り出して食べました。  テレビの中の明るい笑い声をききながら、 「お母さんなんか、いなくなっちゃえばいいのに」  と呟きます。  それからお風呂にお湯をため、ぼうっとお湯につかりながら、 「お父さんなんか、消えちゃえ」  と呟きました。  まだ八時でしたが、明日は学校も休みだし宿題をする必要もなかったので、わたしはテレビと電気を消しました。  そして、ベッドに入って目を閉じます。  こんなクリスマスイブなんて、早く終わっちゃえばいいのに。そう思いながら、わたしは「でも」と呟きます。 「でも、ほんとは……」  静かに、ゆっくりと、わたしは眠りの世界に入っていきました。
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