64人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいまー」
いちおう声をかけてみても、家の中はうす暗くて、玄関にはわたしのくつだけが転がります。
電気とテレビをつけて、わたしは自分の部屋にかばんを投げ出しました。
キッチンの食卓の上には、千円札が一枚と『何か買って食べなさい』というお母さんからのメモが一枚。
わたしはため息をついて戸棚をあけ、カップラーメンを取り出して食べました。
テレビの中の明るい笑い声をききながら、
「お母さんなんか、いなくなっちゃえばいいのに」
と呟きます。
それからお風呂にお湯をため、ぼうっとお湯につかりながら、
「お父さんなんか、消えちゃえ」
と呟きました。
まだ八時でしたが、明日は学校も休みだし宿題をする必要もなかったので、わたしはテレビと電気を消しました。
そして、ベッドに入って目を閉じます。
こんなクリスマスイブなんて、早く終わっちゃえばいいのに。そう思いながら、わたしは「でも」と呟きます。
「でも、ほんとは……」
静かに、ゆっくりと、わたしは眠りの世界に入っていきました。
最初のコメントを投稿しよう!