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ゼロの言葉に、ステラの表情に悲しみ、戸惑い、恐怖といった感情が浮かぶ。
そんなステラに、ゼロはゆっくり近付きながら言う。
「好きだと言ってくれたところ悪いが――」
アスラを高く掲げ、ゼロは躊躇うことなくそれを振り下ろした。
「死ね」
スローモーションのようにゆっくり見える光景を、ステラは他人事のように眺めていた。
講義中も放課後も、多くの時間を共にしてきたゼロ。
無表情なのに優しくて。
クールなのに面白くて。
誰よりも強くて。
誰よりも頼りにしていて。
側にいると安心するのに、いつだって胸がドキドキしてしまって。
そんなゼロの空気が居心地がよくて、波打つ自分の心がくすぐったくて。
いつの間にか誰よりも大切になっていた人。
そんなゼロが死ねと言うなら、そんなゼロの手にかかって死ぬのなら、それもいいかななんて考えが頭をよぎってしまって。
ステラは目を閉じて、その刃を受け入れることに決めた。
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