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しかし、その刃がステラに届くことはなかった。
代わりに、ステラの頬に生暖かい水滴が飛んできた。
「……させねぇって」
くぐもったアレスの声が聞こえて、ステラはゆっくりと目を開いた。
そして息を呑む。
目の前の、ステラとゼロの間に飛び込んできたアレスは、右肩から胸にかけて、ゼロが振り下ろしたアスラで斬られ、そこから鮮血が噴き出していたから。
「いやぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!」
ステラの悲鳴が辺りに響く。
それと同時に、魔道具【バグラム】を手にしたカレルが、ゼロに襲い掛かった。
「てめぇぇえぇぇぇ!」
バグラムの刃で斬りかかってくるカレルを、ゼロはアスラで弾き返す。
「向かってくるのなら、お前もこの場で殺してやろう」
淡々と殺意を向けるゼロに、カレルは憤怒の表情で怒鳴る。
「何でてめぇは、アレスを斬って平然としてんだよ!?
仲間だろうが!?ダチだろうが!?
何でそんな簡単に裏切れるんだよ!?」
激昂するカレルに、ゼロはつまらなそうに鼻を鳴らす。
「お前とは覚悟が違う」
「そんな覚悟いらねぇんだよ!」
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