猿と孔明

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藤吉郎『ごめん!孔明殿!孔明殿は居りませぬか?』 孔明『藤吉郎殿、私は此処ですよ。』 孔明は、庭で軍略を思案していたのであった。 藤吉郎『おぉ~此処においでか。はぁはぁ。探しましたぞ…』 孔明『そんなに息を切らせて、どうされたんですか?』 藤吉郎『拙者、この度、美濃の墨俣築城の任を受けたのですが、さっぱり良い案が浮かびませぬ。』 孔明『ほぉ~!築城の任ですか。それで、私に策をとお出でなされたのですね』 藤吉郎『さすが孔明殿話が早い。是非、拙者に策を授けて頂きたいのです。』 孔明は、しばらく考えた、『この時代で私の策が役に立つのだろうか?…』と。 信長と出会った孔明は、何度か戦場に出陣はしたものの、見るもの触れる物すべてが初めてなので、驚きを隠せなかったのである。 孔明は、閃いた! 『藤吉郎殿には、弟君の小一郎殿、友人の蜂須賀小六殿が居ましたね。』 藤吉郎『はい。その両名がどうかしましたか?』 『その両名を呼んで下され。』 しばらくして小一郎と小六がやって来た。 『孔明殿、お呼びですか?』 『貴方がた二人に策を授けておきます。』 『まず、小一郎殿は山で材木を切り、外壁を組んで筏として墨俣に流して下さい。そして、小六殿は守りに着いて下さい。』 『そして、藤吉郎殿は墨俣築城を、どっしりと陣頭指揮を御取りくだされ。それでは早目に取り掛かられた方が宜しいですよ。』 孔明は、ニッコリと微笑んだ。 『おぉ~!!』 掛け声と共に、仕事に取り掛かった。
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