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幸せな時間とは直ぐに過ぎ去ってしまうモノだから…
──声が聞こえる…
静かな森の中で眠る一人の少女はゆっくりと瞼を持ち上げ現れた黒い双眼に透き通った青い空を写した
「この空は汚れてしまった世界をどう写しているんだろう…」
戯言だな…と少女は無表情で続ける
だってこの空は世界など写さずにただ青い色を写すだけなのだから…
「リーファ!…」
少女を呼ぶ声がする
「リーファ、ここにいたのですか。探したのですよ」
少女が声の方に顔を向けると一人の男がホッとしたような表情を浮かべてやってきた
「ナル?」
「ナルじゃないだろ!!ナファル神父だろ!!」
少女が首を傾げると男の後ろにいたらしい少年がヒョコリと顔をだして怒鳴りながら言う
「まぁまぁ、エイス。私達は家族なのですから呼び捨てでも別にかまいませんよ」
「でも神父様は神父様だから…」
「エイス」
「うっ、……俺先に帰りますっ!」
ナファルが優しいながらもしっかりした声で名前を呼ぶとエイスは苦虫を噛みつぶしたような表情浮かべるとキッとリーファを睨んで元来た道を走って帰って行った
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