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「なー信ちゃん」
「なんや」
「やっぱ、女はかわいくないとあかんのやな」
頭を撫でてくれていた手がぴたり、と止まった。
「急に、どした」
穏やかな声。
泣きたくなるほどに、やさしい。
「…彼氏、
…今日別れた彼氏がな、
『お前可愛げない』
やってさー…」
ゆっくりと目の前が滲んでいく。
「あたし、頑張ってかわいくなろうてしててん。
でも、やっぱり無理やった」
一粒、溢れ出した。
「頑張ったん、やけど。
……さすがに今回はキたわ」
ぎゅっと目をつぶると、また一筋流れ落ちていった。
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