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「でも3人目の心当たりはないんだよね~
哲は無い?心当たり」
「あったら俺はここに来ないだろ………
困ったな………
とりあえず職場でもらってきた求人広告見るか?」
美香は首をブンブンと振った
「見たってしょうがないよ
私は哲が何がやりたいのか知らないし……」
『何がやりたいのか』
何気無い言葉の筈が小早川の脳裏に焼き付いて離れない
「(やりたいこと………
そんなことなんて今も昔もあったかな………)」
突然考え込む小早川の顔を美香は観察するように覗きこむ
「んー?
どうしたの?考え詰めて
やりたいことがそんなに無いわけ?」
「いや、今は見ての通り無いが………
昔は『コレがやりたい』っていうのがあったのかと思って」
「んー、じゃあ昔は何になりたかったのさ?」
「小学校上がる前はテレビの特撮ヒーローになりたかったのか、はたまたよく遊んでた電車のオモチャに影響されて電車の運転士になりたかったのか………
よく覚えてないな」
そうは言いつつも、何かを懐かしんでいるようだった
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