225人が本棚に入れています
本棚に追加
/244ページ
「(とまぁ、漫才してる場合でもなくて
資格がいるな、やっぱり)
すみません、特技なだけで資格はないんですけど未経験でいい所ってあります?」
「じゃあこちらなどいかがでしょう」
「(ボディ・板金春川…………)
すみません今日はもう遅いので、失礼致します」
「はい、またご相談の場合はどうぞこちらへ」
飄々とハロワを出る小早川を美香が制した
「いいの?他にもあるじゃない」
「資格ないし、お前んとこは勘弁だぜ」
「でもなかなか給料はよかったでしょ?かっこはぁと」
「何が『かっこはぁと』だ…………
まぁ………給料……はな……
上司が気に入らん」
小早川は上司を怪訝そうな目で見る
「なによ!?就職先が見付からなくて泣きついたって、入れてあげないよ?」
「笑顔で言うな
怖いから
ま、候補には?」
「ふふっ………」
不気味な笑みをこぼすボディ屋
「気持ち悪いな
あくまで最終候補な
受験で言う滑り止めがあるなら、言わばブレーキだ。しかも戦闘機も一発で止めるような制動力で、人間の領域を超えたABS搭載だ
しかしドライバーはシートベルトに締め付けられ鎖骨が折れる……
って位だ」
今日の小早川は首都高で見せるリーダーシップに富む小早川ではなく、冗談などを言う普通の人間で、美香も驚く節があった
「殺すわよ?」
それよりも、ボロクソ言われた店のフォローが先だった
「笑いながら言わないでくれ………」
最初のコメントを投稿しよう!