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「すいません!
道が混んでて……………
お話し中でしたか?」
「いや…………私はもう帰る
邪魔したな」
男はそう言うと、歩いて帰ろうとした
ボケっと立っていた小早川はハッと気付き道を空けた
男はその横をすっと通り抜ける
なんてことのない風景
しかし小早川には突風が吹き荒れたように感じた
ばっと振り返り、その風の流れていく方向を見た
彼だ
「(なんだ………!?あの人…………
殺気立ってたし、その殺気は俺に向けられていた………………
なんだというんだ、この気圧され方は………!)」
男は視線を感じたが、一瞥すらすることもなく歩いていく
「(予想通りと言ったら予想通り収穫は無かったが、古狐め……………
あのロータリー86の男が奴の秘蔵っ子か…………
一応楽しみにしておこうか………………)」
男は闇こそ開闢以来の故郷であるかのように東京の雑踏の中へと蜃気楼の如く消え去った
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