225人が本棚に入れています
本棚に追加
右車線にRX-8、反対側には86
次は不幸中の幸いか左コーナーだ
コンクリートウォールによるブラインドコーナーであるこの先には憂慮である京橋名物・橋脚が待ち構えている
「(頼む…………いないでくれ……………)」
祈り届かず、左車線の橋脚を今通りすぎんとする一般車が見えた
以前までの86でさえミラー破損、至るところを板金屋の世話になったというのにリニューアルされたエアロによってワイド化された86では安全のため広く一車線とられているとは言え、同時に通り抜けるのは不可能である
小早川の車両感覚は皮肉にも一沫の希望すらなく、ただただ絶望的な現実を一瞬にして悟らせるだけだった
声もなくほくそ笑む12時過ぎのシンデレラに対し、小早川に諦めの様子はなく瞳に光は失われてはいなかった
「橋脚をあの車が抜けるのが先か!俺が追い付くのが先か!
運試しだ、やるしかない!」
緩めかけたアクセルを確かめるように力強く踏みつけた
最初のコメントを投稿しよう!