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ハンドルとそれを握る手の隙間にじわじわと嫌な汗が溜まっていくのが分かる
いつ滑ってもおかしくは無く、持ちかえたいところだがあいにく手はハンドルを握り離さない
自分にはどうしようもできない事態に、ただ焦りだけが募っていた
自力でどうにかなることと、ならないことがあるのも重々承知している
自力で奇跡を手繰り寄せ続けた小早川が一番よくわかっていた
外的なきっかけが欲しい、小早川はそう思ってはいたがそんなものはない
いつ事故るか、いつぶっちぎられるかわからない状況をただ指をくわえて傍観するしかないと覚悟を決めつつあった
C1への道が迫りつつある頃希望と絶望が一気に押し寄せた
江戸橋JCTを通過しキリングマシーンはC1内回りに入る
「どうした……環状線最強……!
ホームで実力を見せてみろ
まさかこんなもの、だとは言うまいな?」
86も遅れて内回りへ
その刹那、小早川の頭の奥に電撃が走った
作り物のように動かなかった手を先程したように服で拭い、ハンドルを持ち直す
「C1だからか……?いや、この感じ……」
不穏な何かを感じ取ったのはキリングマシーンも同様
「C1に入った途端迫力が増した?いや、このプレッシャー……彼のそれではない!」
C1内回り・銀座から合流するそのプレッシャーの正体こそは……
「戦闘開始。各機、散開!」
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