86への鎮魂歌

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遠藤モータース 「(なんだか人気が無さそうだが、誰か居るのか?)」 とりあえずこの一言 「すんませーん」 「あいよー今そっち行く」 奥からオッサンらしいツナギを着たオッサンが出てきた 「小早川って言う者だけど…」 「あぁ弟さんか!話は聞いてる、来な」 連れられた奥にはエンジンがあった 「これは小さいエンジンだなREか?」 オッサンがにやつく 「その通りこれはREだ。だけどなルマンで走ったあのマツダの787Bあるだろ。あれに積む予定だったんだがレギュレーションに合わなかった13Gだ」 小早川の目付きが変わった 3ローターなのは見て分かるがそんな代物とは思いもしなかった 「なぜこんな所に…ふつうマツダにあるか廃棄されてるかのどちらかでしょう?」 「この業界は結構アングラだったりするのさ、ちょっとした所からこんな代物が流れて来ることは珍しくない。 まぁこんなのが来るのは滅多にないがな」 「なんで俺にこんな凄いエンジンを…」 「悟が見付けたんだよ、詳しくは言えないが『弟の86に』ってな」 ふと疑問が浮かぶ 何故俺なのか 兄の86に積めば戦闘力は比類なきものになるんじゃないか、と「お前さんが考えてる事は分かる 『なんで俺なのか』だろう?」 小早川は見抜かれたことにさほど驚きはしなかった 「顔に出てました?」 「いや、そう考えるのが人だろう 悟は悟にない何かをお前さんに感じたんじゃないか? じゃなきゃそんなことする奴でもないだろう さて、今日はわざわざ来てもらったんだけど見るだけになっちまうな、今週中には積めると思う、楽しみにしてな」 小早川は深く一礼した 「ありがとうございます」 代車に乗り込みそこを後にした
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