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「(な、何にもない……
本当に廃墟じゃないのか?)」
小早川の意図を察した春川は説明する
「今はボディー作ってないんだよね……
大手にやっぱり取られちゃうんだよ」
ボロ倉庫に客が来るのかと言いそうになったがおさえた
「春川さんはボディ作りには自信………」
「はい、ストーップ!」
自信があるんですか?
と、言いかけたが制された
「そう、何か引っ掛かってたと思ったら
敬語やめっ、うんそうしよ
重いって、タメくらいでしょ?
小早川、小早川言うと頭ん中ぐちゃぐちゃだから………
哲!と呼ぶ」
突拍子のないお友達宣言に呆気にとられた
「いや、客がタメ口きくのって………」
よく考えればタメ口きく店員もいない
「いい?客とかじゃないの
86をバリバリ改造する仲間なんだからさ」
…………………
小早川は根負けしたように態度を変えた
「そこまで言うならしょうがないな……
で、春川、86はどうするんだ?」
「86は私の腕によりかけて修復、さらにボディ剛性、軽量化
女だからって心配はない
かつて悟の86のボディを仕上げた死んだ父直伝の腕なんだから!」
タメ口きいたのが嬉しいのか、はたまたこれから86を改造するのを考えて浮かれているのかは知れないが、先ほどの不機嫌さは消え、ニコニコしながら話していた
「(大体分かってきた
言ってしまえば兄貴のコネだ
俺はなんもなしにそれに甘んじることが許されるのだろうか?
…………………
考えても仕方がない、帰ろう)」
小早川は踵を返した
「もう帰るの?」
「あぁ、そうする
疲れたんで早く帰りたいんだ」
言いながら小早川はバイパーに乗り込んだ
バイパーはあたかもタクシーのように静かに加速した
「凄い……!
あの殺じ………モンスターバイパーをあそこまで……!
エンジン以外にも小細工はしたはず……」
なにか気になることを言ったのは気のせいである
小早川はそれを振り切りバイパーはまた近藤モータースへ走り出した
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