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学園長室を後にした俺は、そのままゲートを使わずに歩いて一年の寮へと向かった。
と言っても、ここから寮は見えないので距離はとても長い。
この学園は広い。
この世界は狭いのに、学園は広い。
そこでぼんやりと思う。
そう言えば、普通界は宇宙に有る球体だけど、範囲の狭いこの国はどうなっているんだろう。
シャチとかを知っているなら、海はある筈だ。
…ってー事はなんだ、日本国が収まる程度の小さな球体って事か?
いや、それにしては地平線が遠く斜面がなだらかだよな。
んな小さな球体って事は、その分地平線も近いし斜面も急な筈だ。
そう思いながら、すっかり暗くなってしまった、だが星が眩しい夜空が草に着地する点をじっと眺める。
フクロウの鳴く音が耳に遠い。
風が吹くと、月に照らされた雑草が優しく揺れた。
ああ、でも。
そんな事は、どうでもいいか。
この世界はこんなに綺麗なのだから。
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