主役

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木村「比呂。それはヒドすぎ。天才声優でもさ-…」 比呂「ホントのことだろ?」 このままじゃあたしは確実に降ろされる 瞬時に頭のなかに入りこんできた 木村「普通だと思うんだけどな-」 秋穂「もう一度!!!もう一度やらせて下さい!!!お願いします!!!」 初めて5分 こんなところで終わりたくない 比呂「何回もやったって無駄だ。」 …怖い… でも… 秋穂「あと一回でいいです!!!お願いします!」 ペコリと頭を下げてお願いする。 その瞬間 ――――ポン――― 頭に手を置かれた 秋穂「…?」 バッと顔をあげるとヘッドホンをつけた比呂がいた 比呂「最後だからな。」 ビックリした 絶対ダメだって言われると思ってたから すごい嬉しい 自然と笑みがこぼれる 秋穂「はいッ」 もう一度真剣にやらなくちゃ… 今度こそ… また木村さんが指で3・2・1をする さっきよりもっと感情をこめて… 秋穂「ズット見てきました…先輩のことが好きなんです。」 思い出した 中学生のとき本当に好きなひとがいて… 絶対無理だって思った でも何もしなきゃ始まらない… その一心で告白したんだ 中学生時代の自分がよみがえったような気分になってた… 比呂「…ダメだ。オレとお前は違う…。」 ビクッ… 初めて聞く比呂の声は大人っぽくて… 天才声優って言われるだけのことはある。 比呂の声にドキドキする。 秋穂「なんで…?」 比呂「お前とは付き合えない。理由はない。」 また中学生時代に戻る。 自然に涙がでてくる。 アニメの主人公と同じように… 秋穂「嫌だよ…あたし好き。嫌なトコロはぜッ全部直すから!おねが…」 比呂「ダメなものはダメだ。」 台詞を言いながらあたしの涙に気付いた比呂はそっと涙を指でふいた。 比呂「悪いな…。」 木村「カット!!!」 木村さんの声にハッとする これは役なんだ 比呂はヘッドホンをとりアフレコルームから出ていく 秋穂「待って。」 比呂はドアの前で立ち止まってウザそうに振り返る 秋穂「泣いたりして…ゴメンなさい…」 比呂「別にいい。」 またアフレコルームから出て行こうとする 秋穂「それから!」 またウザそうに振り返る 秋穂「ありがとう…」
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