主役

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まるで聞こえなかったようにアフレコルームから出て行った比呂はなんとなき格好よく思えた… キツくて怖いはずなのに… 遠藤「あっちゃん!ダメ出しされたって?!」 アフレコルームからでるなり遠藤さんに呼ばれた 秋穂「はい…でも大丈夫です。あたし頑張りますから。」 あんなに言われたのにあんまり凹んでない 遠藤「分かってるわ。あっちゃんがそれぐらいでめげない子だってことぐらいね♪」 秋穂「はい。」 遠藤さんは優しいな いつもこの優しさに甘えちゃう… あたし本当にこれからやっていけるのかな… ――――――――――― ――― ― 比呂「下手くそ。」 秋穂「…え?」 収録2日目。 またもやダメ出し。 比呂「あぁ…なんでお前はそんな下手くそなんだよ。」 今日はキレてるって言うよりあきれてるって言ったほうがいいかも… 秋穂「すみません…」 ちゃんとやってるつもりなんだけどな… なんでダメなんだろう… 比呂「木村サン。収録したヤツこいつに見せてやって。」 ヘッドホンをいきなり脱ぎ捨てて言った 秋穂「比呂?」 比呂「呼び捨てにすんな。」 怖っ!!! 蛇みたいな目で見ないで-(泣) 秋穂「ゴメンなさいっ(汗)」 木村「はい。コレね。」 木村サンはそう言ってさっきとってたテープを比呂(さん)に渡した 秋穂「なにするんですか?」 比呂「お前の下手さを見んの。自覚してね-みたいだから。」 やっぱあたしって下手なんだ… 大きめのホールのようなトコロで撮ったテープの映画を見る やっぱり比呂は上手い 声がそのまま入ってくる それに比べてあたしの声には感情が入っていないというか… とりあえず下手なのが分かった。 今日のアフレコなんて特に最悪… チョット涙が出て来る この差はなんなのだろう? 分からない自分に腹が立つ 比呂はなんでこんなに上手くできるの? 判泣きのあたしを比呂は横目で見て言った 比呂「お前恋愛したことある?」 どういうコト??? 秋穂「へ???」 比呂「下手なヤツの場合、自分がその状況に立ってみね-と分かんね-んだよ。」 秋穂「その状況に??」 たしかにあたしは恋愛といえる恋愛をしたコトがないかもしれない… 告白シーンは自分と照り合わせて声を出していた…
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