白い雪の夜

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見上げた空から、白く儚い雪。 「蓮、」 「ん?」 「雪だよ」 「本当だ…」 蓮は頬を緩ませ、空を見つめた。 灰色の雲の隙間から雪白の月が覗いてる。 独りきり、寂しげに、今にも泣き出しそうに。 ごめんね、お月様。 あたしは独りじゃないの。 ギュゥッと、右手を強く握った。 「奈未?」 握りしめた手は、あなたの手。 「何でもないの」 「そう」 あなたはそっとあたしの髪にキスした。  
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