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俺は精一杯走って蒼さんの所へ行くと、既に蒼さんは車に乗って助手席のドアを開けていた。
「乗れ。シートベルトしてどっかにガッチリ掴まっとけ」
言われるがまま俺は車に乗った。そして、シートベルトをして足を突っ張ると車は急発進した。
「蒼さんどこに向かってるんですか?」
「今話しかけるな。舌かむぞ。着けば分かる。静かにしとけ」
「はい…」
無言のまま車は凄いスピードで走っている。途中サイレンのような音が聞こえたがすぐ消えてしまった。とりあえずいつ事故るとも知れない車の中俺はいやな冷や汗とバクバクした心臓の連続で生きた心地はしなかった。
そして、ある山の近くで車は減速し、停車した。
「降りろ」
「ここは?」
「比叡山だ」
「ひえい?」
「比叡山。つまり霊山だ」
「なぜこんな所に?」
「お前に会いたがっているやつがいる」
「俺に会いたがってる人?」
「まぁ、付いてこい」
「はぁ」
そして、俺達は山を登っていった。
足場は岩が多く歩きずらいなか、俺は大分息が上がって居るのに対し、よく見ると革靴なのに蒼さんは顔色一つ変えずに進んで行いた。
次第に遅れを取り始めた俺に、先を歩いていた蒼さんが立ち止まって声をかけてきた。
「もう少しだが、なんならおぶってやろうか?」
「いいえ、自分であるけますから!!」
「そうか、じゃあ頑張れ」
「は…い」
からかわれているのが分かり、意地を張ったが内心かなりきてる。だが、そんな事にも負けず、なんとか目的地までたどり着いた。
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