4人が本棚に入れています
本棚に追加
「中に入るにあたっていくつか注意が要ります」
俺はあまりに真剣な面もちでこちらを見て話す時人の言葉に、思わずつばを飲み込んだ
「一つ目は、中には必ず一人ずつしか入れません。次に中へ入ったら、正面の墨絵に一礼し膝を着きもう一度礼をします。そしてロウソクを消し絵があった方へ置いて、さらにその方向へ頭を向けて、仰向けで横になってください。そしてゆっくり目を閉じ眠りについてください」
「なんだなかでねむるだけか…」
「そんな単純なもんじゃない」
「えっ」
蒼さんからボソッとはなたれた言葉にひやりと嫌な汗が流れた。
「そう、肝心なのはここからです。ここは、私達比叡山高位の修行僧でもめったに訪れる事のない修行地です」
「えっ…」
「それだけここは危険だという事だ」
「はい。中は広くない四方の畳部屋で、正面の壁に阿修羅神の墨絵があるだけなのですが…」
緊張の糸がピッと張った。
最初のコメントを投稿しよう!