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その様子を見ていた俺は、小さく震えながら、座ったまま動けなかった。
ちょうどその時、父は母とともに出かけており男でがちょうど無かったのだ。
しかしそこに勢いよくふすまが開く音がした。
「何事ですか、騒々しい」
「ばあちゃん」
「まぁ何ですのあなたは」
「うるせーばばあ。良いから早くここの主を出せってんだよ」
そう言って男はこちらに刃物を向け突きだしてきた。
「キャァ」
茶会に来ていた人達が次々に悲鳴をあげる。その様を祖母にさえどうすることもできなかった。
「お静まりください」
その一声で雰囲気ががらりと変わった。そして声の主は兄貴だった。
「何かご用ですか」
「なんだガキ。良いから早くここの主を出せってんだよ。本気この女殺すぞ」
「まったく、騒々しいと思ったら…私が黒澤家五代目当主黒澤秀ですがご不満でしょうか。四代目の父は只今外出中で留守にしておりますが、父にご用でしたらその女性を離して日を改めてお越しください」
「なにを!!」
「他に何か!」
「ぐっ…」
「何もなければどうぞお引き取りを……お引き取りを!」
わけの分からぬ男は、兄貴の気迫のこもった言葉に圧され、何もできず退散していった。
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