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<優サイド>
「えーと…」
優は自販機の前で悩んでいた。
「優さん…あの。」
話しかけられた方を振り向くと、そこには律子が立っていた。
「律子さん…?」
「大変なんです…優さんの、大事にしてるものが屋上に…多分、お父さんの写真だと…」
優は最後まで聞かずに、血相を変えて走り出した。
「優さん……ごめんなさい。でも、あの子の頼みだから…」
律子は走り去った優を複雑な表情で見つめながら呟いたが、それを聞く者はいなかった。
優はひたすら走り続けた。
途中で女に囲まれている進や真達とすれ違ったが、話しかけず屋上まで一直線だった。
たどり着いた屋上で優が見つけたのは、ボロボロになった父親の写真だった。
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