切なき想い

5/8
前へ
/146ページ
次へ
<雄大サイド> 「――俺は…好きでもない奴と付き合いたくない。」 答えは、最初から決まってた。 優の側を、離れたくない。 「…私が何してもいいの?」 千鶴はまっすぐに雄大を見つめた。 「俺が守るからいい。」 雄大はきっぱりと答えた。 「そう…じゃあ最後に。」 千鶴はそう言うのと同時に、雄大にキスをした。 ――ガチャッ。 それと同時に、屋上を優が覗いた。 優は目を見開いたまま、黙って扉を閉めた。 「優…!?」 追い掛けようとする雄大を、千鶴は抱きしめた。 「雄大…これで私の仕返しは終わりよ。貴方の本気が見れて、嬉しいわ。」 千鶴はにっこりと笑って離れた。 「ありがとう千鶴…」 雄大は千鶴に礼を言って嬉しそうに笑うと、駆け出した。 「――お姉ちゃんの仕返しって言いながら、私は雄大が欲しかっただけなのかもね。」 一人残された千鶴の小言を聞く者はいない。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1606人が本棚に入れています
本棚に追加