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<晃サイド>
(清司、辛そうだったな。)
晃は、一人になってそんなことを考えていた。
なぜ辛そうな顔をしたのか、晃はよくわかっていた。
(優は少なからず雄大に好意を持ってる…でも、だからといって。)
「渡すつもりはない。」
(どんな手を使っても、手に入れたいんだ。)
はっきりとした強い意思を持っている晃の瞳は、真っ直ぐだった。
ふとその瞳の端に、優の走る姿が映った。
(…今のは、優?)
「優!くっそ…どこ行った!?」
その後、すぐに雄大が走ってきたが、見失ったらしかった。
「優ならあっちに行ったぞ。」
俺は、優が走った方向でない方を指差した。
雄大はすぐに走って行く。
――チャンスかもしれないんだ、ごめんな雄大。
雄大に嘘をついた俺は、優の走った方へ向かった。
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