1606人が本棚に入れています
本棚に追加
「それって……」
「ストップ!」
私が言いかけると晃が阻止した。
「どっかに付き合って欲しいとかじゃないし、恋愛対象としての意味だから!
返事は今しないで。
優が返事くれるまで、いくらだって待つし!」
晃は顔を赤らめながら必死に話した。
必死さが伝わって、こっちまで恥ずかしくなった。
「急がなくていいし、ただ…ちょっとはそういう風に考えて欲しいから。」
――晃は、優しい。
私の気持ちをさりげなく優先してくれてるのが、すごくよくわかる。
「あー!!俺、翔太とちょっと約束あるから!」
そう言うと晃はその場を逃げるように走り去った。
わざと、気まずくならないようにしてくれたんだきっと。
“俺と付き合ってよ、優。”
頭の中で、彼の真剣な言葉が繰り返される。
でも、私は気付いてなかった。
この時に、影から見ていた人がいたことに。
晃の告白によって、私のまわりが変わっていくなんて
わかるはずもなかった。
[切なき想い]-END-
最初のコメントを投稿しよう!