白い僕 赤い君

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そこは真っ白い世界 だから赤は異質 「どうして君はここにいるの?」 「いてはいけない理由があるの?」 くす、と赤い彼女は軽く笑う。 明らかに人間ではないだろうその小柄な体は赤い服、長く赤い髪に包まれている。 雪で包まれた真っ白い世界に習うように赤い少女に向き合っている少年もまた真っ白。 十を二つ三つ過ぎた程度の彼は年相応の顔に表情を持たず、ただ淡々と楽しそうに笑う掌くらいしかない赤い少女を見下ろす。 雪で染まった真っ白な世界。 音もない世界のはずなのに、少女の色はよく映える。
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