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204号室。八畳一間。部屋には幸枝がたった一人、コタツに入っていた。
コタツの上には立派なクリスマスケーキが。
幸枝は、無言で、ケーキを八等分に切り分けその一つを取り皿にとる。
そしてオマケで付いてきた短いろうそくを一本、グサリと差して火を着ける。
すきま風に吹かれて、ユラユラと揺れる炎を見つめるその目は、精気が感じられない。
「…………。きぃーよしぃー…こーのよぉーるぅー…」
突然歌い出した。なんの脈絡もなく。
しばらくすると、歌詞が解らなくなったので、鼻歌に変わっていたが。
幸枝の目には、キラリと光る涙が浮かんでいた。
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