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会社帰りの商店街は幸せそうなカップルや家族連れで賑わっている。
にもかかわらず、幸枝だけが暗黒のフォースに覆い尽くされ、ダークサイドへ身を落としていた。
すれ違う人々の視線が痛い。嫌なもの見たような、同情するような、そんな視線。
耐えきれなくなってしまう前に、早くケーキを取りに行こう。
幸枝がケーキを予約していた店は雑誌にも度々取り上げられている有名店であった。
舌を出したキャラクターの割と大衆向けの洋菓子店より、ワンランク上(値段的に)の店である。
それ程高給取りではない幸枝にとって、この出費は割と痛手だったが仕方ない。
注文して前金を納めてしまっていては、食べないわけにはいかないだろう。
「食べ物を粗末にしたら、もったいないオバケが出るもんね。」
そう自分に言い聞かせるのが精一杯だった。
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