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そして今。こうしてケーキを切り分けた訳だが。
「……。仕方ない。食べよう」
ついさっき刺したローソクの火を、ふっと吹き消し引き抜いた。
フォークで一口分切り取り、口へと運ぶ。
ケーキはよくあるイチゴの乗ったクリスマスケーキ。
しかしながら、高い料金を払っただけのことはある。
「あ、おいし!」
生クリームが美味しい。
洋菓子の知識などほとんど持ち合わせていない幸枝でも、コンビニで売っている安いケーキとは一味違う事は理解できた。
濃厚ながらしつこくない。スポンジも柔らかくパサついた感じなど微塵もない。甘過ぎず、イチゴの酸っぱさがまた良い。しかし何故かしょっぱい隠し味が…?
「あ、あれ?
変な味、ってコレ、私の…涙?」
泣いていた、気付かないうちに。
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