梯[ハシゴ]

12/21
前へ
/46ページ
次へ
「ん?」 遠くにあった羊雲の群れがいつの間にかずいぶん近くに来ている。 そういえば風がかなり出ている。 羊雲はとんでもなくデカかった。 恐らく数kmの高さはあるだろう。 俺のいる位置はその一匹の羊のまさにど真ん中だった。 ちょっと怖くなったが、なぁに、どうって事はない。 『デカいからって調子に乗るな!お前と俺とじゃ体の細胞の密度が違うんだよ!弾き飛ばせるもんなら飛ばしてみろ!』 俺は羊雲に中指を立ててやった。 しばらくすると羊達は本当に向かってきた。 視界が暗い灰色に覆われたと思ったその時、もの凄く冷たい濃霧が俺を包んだ。 「んわわわわ。」 俺は急いで雨合羽を取り出し、素早くまとった。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加