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もっと濃い霧が周りを暗くし、合羽がすぐに水びたしになる。
雨の中にいるように水滴がバタボトと滴る。
『寒い。』
そう、雲の中は寒かった。
雪を作るくらいなのだ、寒いのは当然か。
『よく天使が裸で雲をはねまわってるが…絶対バカだぜ。』
歯をガチガチバチバチと激しく鳴らして凍えながらそんな事を考えいた。
茶色の革手袋も湿気で色が良い感じに濃くなっている。
『手が。』
革を通して手に染みてきた水は、やがて合羽を伝って腕に流れ込んできた。
余計に冷たい。
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