梯[ハシゴ]

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先が見えない。 いや、涙のせいじゃない。 斜めに立ててあった脚立が垂直に立っている。 一人で。 「むむ?」 それは脚立というか…梯? 目の前に立つそれは明らかにホームセンターで買ったやつだが…こんなに高かったか。 そいつは既に一本の梯と化しており、その先はどんよりとした灰色の曇空に向かっていた。 喉が締め付けられるくらい上を見ても頂上が見えない。 俺はぼんやりと口を開けて梯を見ていた。
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