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周りはだいぶ暗くなり始めていた。
と言っても街の光はずいぶん下にある。
もう自分の家さえ分からない。
『俺はあんなちっぽけな家のために頑張ってたのか。』
今まで過ごしてきた時間が全て無駄に思えてきた。
必死で勉強して必死で働いて得た物があんな小さな物とは。
家を買った時、マンション住まいの友人が『一国一城の主だ』と言っていたが冗談じゃない。
一国だと?今は王が一人しかいないんだぞ?その王もこんな所にいるし。国民は元々いないし、姫様だって亡命しちまったんだ。
一城だと?あんなもの、10人もいたら数分で陥落出来るよ。まあ、盗られるものも守るものも今はもう無いがな。
そんな事を考えながらも手足は休めない。
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