寒い日。

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今年は雪、降るかな? 積もるかな? 美咲は空を見上げてため息を漏らした。 オフィスから見える空は、どんより鈍い色をしていて、雪よりも雨が降りそうな空だった。 でも、美咲は今年のクリスマスは、きっと雪が降ると、そう思っていた。 仕事を終えて会社から出ると、やはり雨がぽつぽつと降り始めていた。 「はぁ…傘買わないと…」 雨の日は、無性に寂しくなる。 暗い夜道に間隔を開けて光を作る街灯が、余計に美咲を寒さに追いやった。 家に着いてからも、寒さは拭えないような気がした。 今日は、ゆっくりと湯舟に浸かろう。 そう思って、お風呂のスイッチを入れた。 お湯が溜まるまで、ゆっくりしてよ。 テレビの電源を入れて、適当なチャンネルに合わせる。 見たい番組があるわけではないけど、こんな天気の夜には、音がないと寂しい。 美咲の部屋にはコンポの類は置いていない。 私の音は、あの人の奏でる音楽だけだから。 タバコに火を付けて、無意識に胸元に光るくすんだシルバーの指輪をもてあそぶ。 もう、2年経ったよ、保。 ゆっくり目を閉じれば、2年前のあの情景が、今でも鮮明に美咲の瞼に映る。 .
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