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「村崎先生、もう帰るんですか?」
赤坂真奈美がわざとらしく尋ねる。進捗状況を聞かれると甚だマズい。
「帰るわよ。あなた達も遅くならないうちに帰りなさい」
怪訝な顔をする村崎亜紀。
話ばっかりしていて、仕事はおおよそ進んでいないとは思っていたが、あえて分からないふりをする。
「じゃあ~、私達も帰るんで~乗せてってください」
赤坂真奈美が緑川優子にウインクをした。
村崎亜紀に白河耕平のことを聞くチャンスだ。
この機会を逃す術はない。
しかし…。
「今日はダメ。用事があるのよ。車も置いていくから、自分の足で帰りなさい」
赤坂真奈美の策略は脆くも、一瞬で崩れさった。
しかし、赤坂真奈美はめげなかった。
少しでも情報を得ようと、探りを入れる。
「デートですか~?」
緑川優子が頭を抱えた。
探りどころか、ど真ん中の直球もいいところだ。
村崎先生なら簡単に気付いてしまうだろう。
「秘密。つまらない探偵ゴッコはやめて、おとなしく帰りなさい」
…やっぱり。
緑川優子がため息をついた。
赤坂真奈美がつまらなそうに返事をする。
「はぁ~い」
村崎亜紀はそんな生徒達に手を振ると教室を出ていった。
村崎亜紀の足音が聞こえなくなったのを確認すると、赤坂は腕を組んで呟いた。
「…怪しい」
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